野良ノ唄〜第一話〜

まず、初めに向かったのは
人間達の住む「街」と呼ばれるところ。

狭い、暗い、路地裏。
そこには、微かな光と歌声が漏れていました。


「キレイな歌声だなぁ」


その声に釣られ路地裏を覗くと
そこには一人の少女が
誰もいない観客席に向かって
唄を歌っているのが見えました。


「こんばんわ。とても美しい唄を歌うんだね」


妖精は
歌声を遮るように叫びます。


「あなたは、だれ?」


薄汚れたワンピースに身を包むその少女は
少し不機嫌な表情を浮かべています。


「僕はニルノラフ。
旅の妖精だよ。
君の歌
ここで聴いててもいいかな?」

妖精がそう言うと
少女は恥ずかしそうに
軽く頭を下げ

すぐにまた
唄の準備を
始めたのでした。